事故物件になった賃貸アパート!損害賠償を請求したくても相続放棄されると終わり

賃貸アパートが入居者の不慮の死によって事故物件になってしまった。

入居者の遺族が相続放棄した場合、大家さんは誰に損害賠償してもらえるの?

事故物件になった賃貸アパートの損害賠償

事故物件になった賃貸アパートは、次の借り主を探すために家賃を下げざるを得なくなります。

また、入居者が亡くなった状況によってはその部屋の特殊清掃や修繕を施さなければならないため多額の費用がかかる場合があります。

これは、アパートの所有者にとっては大きな経済的な負担となるため、借り手側に損害賠償を請求することができます。

この場合、借り主はなくなっているわけですから損害賠償の請求は相続人である遺族に対して行うことができます。

損害賠償ができる死とできない死

  • 自殺は損害賠償請求できる

自殺の場合、入居者本人の故意による死であるため遺族へ損害賠償請求ができます。

  • 他殺は損害賠償請求できない

他殺の場合は、入居者の意思に関係のない死であるため「本人に過失なし」とみなされます。そのため、遺族への損害賠償は請求できません。

  • 孤独死・病死は損害賠償請求できない

病死や不慮の死、孤独死などの場合、入居者はやむを得ない状況による死であるため、これも「本人に過失なし」とみなされます。そのため、遺族への損害賠償は請求できません。

しかし、本人に過失のない死であっても、発見までの期間が長くて部屋の部屋の原状回復のために費用が発生する場合はその費用を請求されることもあります。

 

遺族が相続放棄した場合は大家さんは泣き寝入り!?

賃貸アパートの入居者が自殺した場合、遺族側が相続放棄をするケースが多いです。

自殺者の財産で損害賠償額が支払えれば良いのですが、それができなければ相続人が自分の財産を削って支払わなければなりません。

それを回避するために相続放棄という手段が取られるわけです。

相続放棄が実行されると、大家さんは損害賠償や原状回復費用の請求ができなくなるためできることなら避けたいこと。

良心的な遺族であれば、身内が迷惑をかけてしまって申し訳ないと賠償請求に応じてくれる可能性もありますが、これもまた交渉次第。何れにせよ慎重に行う必要があります。

 

ただし、遺族が連帯保証人も兼ねている場合は、連帯保証人として損害賠償が請求されるので相続放棄した場合でも損害賠償を回避することはできません。

 

相続放棄をされてしまうと、事故物件となリ資産価値が落ちてしまったショックだけでなく、原状回復費用や損失の補填も行ってもらえない状況に陥ります。

更に、大家さんが困難に陥る問題は、相続放棄されたときの賃貸契約の解除問題です。

自殺者が出た部屋の賃貸契約が解除されなければ室内の荷物も勝手に処分できません。

相続人が相続放棄した後、相続財産管理人が選出されるまでは契約解除ができないわけですから、その間、少なくとの1年以上はその部屋をそのまま放置せざるを得ないということにもなるのです。

 

相続財産管理人
相続財産管理人とは、相続人全員が相続放棄して、結果として相続する人が誰もいなくなった場合も、亡くなった人に代わって亡くなった人の財産から債権者等に対して借金等を支払い清算をする人。清算して残った財産は国庫に帰属します。

 

アパートが事故物件となったら専門家に相談

事故物件となったアパートを引き続き賃貸物件として使用するのは、大きなコストもかかる上、十分に利益を見込めない可能性があります。

更に、遺族に相続放棄された場合は、原状復帰して再度貸し出せるようになるまで時間と労力もかかります。

それを避けるためにも、相続放棄をさせない方向で交渉を進めてくれる専門家に相談することは大切です。

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