サイディングの模様を活かした外壁塗装ならクリア塗料を利用した工法がおすすめです。本記事ではその理由とクリ塗装が使える基準について説明しています。
目次
サイディングの模様を残したいならクリア塗料で外壁塗装する
工場で作られたサイディングボードの模様を顔料の入った塗料で塗り直して、新築同様に再現するのは不可能です。
一方、クリア塗装は使用する塗料に顔料が含まれていない透明の塗料なので、石目調やタイル調、レンガ調などの意匠性の高いサイディング柄や、木目などの素材の色や模様を活かしたまま外壁材の表面を保護することができます。
建物の印象を変えず塗り替えることができるので、既存の印象を変えたくないという方にはお勧めの工法です。
クリア塗装のメリット
1 無色透明であるため既存の柄をそのまま活かせる
上述したようにクリア塗装は透明であるためサイディングの模様(柄など)をつぶさずに塗り替えることができます。
2 外壁に艶を出して美しさを維持できる
クリア塗装を施した外壁には、美しい艶や光沢が生まれます。光沢の度合いは塗料によって変えるこができます。
3 耐久性に優れた塗料が多い
クリア塗料の中には、防汚性や耐候性に優れ藻やかび菌に強いものや、紫外線を吸収することによってUVカット機能を発揮するものなど様々なタイプの物があります。完全に硬化させれば傷がつきにくい強靭な膜を形成することができます。
4 チョーキング現象が起こりにくい
壁に手で触れたときに手が白く汚れるチョーキングと呼ばれる現象は、塗料に含まれる顔料が劣化して起こるものです。クリア塗料には顔料が含まれていないため、塗料が劣化してもチョーキングが発生することがありません
5 少ない塗装回数で済む
通常の塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが標準ですが、クリア塗装ではシーラーやフィラーと呼ばれる下塗り材を使用しません。使用する塗料や塗装の手間が少なくなるので、他の塗装よりも比較的安価になります
※ただし、通常の3回塗りと比較して、塗膜が2層になる分、耐用年数も短くなります。
クリア塗装ができる外壁とできない外壁
クリア塗装ができる場合|外壁に汚れやヒビがない
クリヤー塗装は透明の塗料のため外壁の状態がきれいに見えます。そのため、傷んだ劣化状況がない外壁であれば問題ありません。
新築から7年くらいまでが目安とされますが、築10年であっても汚れやひびが全くないのであればクリア塗装が可能です。
自分で判断できない場合は専門の塗装業者に頼んで点検してもらってください。「クリヤー塗装したいんだけど、ヒビや汚れがないかチェックしてください」といえば、その前提で細かく見てもらえます。
クリア塗装ができない外壁|何らかの劣化が表れている外壁
汚れやひび割れなどすでに何らかの劣化が表れている外壁は、クリア塗装を行ってもその部分が透けて見えてしまいます。
外壁をさわると手に粉がつく(チョーキング)
チョーキング現象が起きている場合は、仮に築10年未満だったとしてもクリア塗装はできません。
チョーキング現象とは、塗料の成分である樹脂(水をはじく力)が失われ、顔料(色のついた粉)だけが残っている状態であるため、この上にクリア塗装を行うと、白濁や剥がれ、剥離などを起こす可能性があるからです。
外壁にヒビが入っている
クリア塗装は表面の保護機能はありますが、ひびを補修しても透明の塗料のため補修跡を隠すことはできません。この場合は、一般的な塗料での塗り直しの方が適しているでしょう。
光触媒・無機・フッ素で塗装されているサイディング
性質上「施工できない」のが光触媒や無機・フッ素塗料、または親水処理等の付加効果のある難付着性外壁材です。
これらは特殊なコーティングであるため、クリア塗料が密着せずにすぐに剥がれてしまう可能性があるからです。
「表面効果のある外壁材」
・ネオロック光セラ
・親水セラ
・親水パワーコート
・ニチハ マイクロガード
・INAXナノ親水
・旭トステム セルクリーンコート
・セルフッ素コート
ただし、見た目ででは、どの塗料が自宅に使われているかはなかなか判断できません。そのため、建てた業者さんに聞くか、図面に記載のメーカー名を調べて、コーティングされたサイディングボードから調べてみましょう。
いずれにしても、光触媒・無機・フッ素で塗装されているサイディング壁にはクリヤー塗装は、施工不良になる可能性が高いので、やめておきましょう。
クリア塗装とコーキングはどちらを先に行う?
コーキングとはサイディングボードの住宅でよく見られる、外壁のボードとボードのつなぎ目に入れられているゴムのようなものです。
クリヤー塗装では、一般的には「そのコーキングの上を塗装してはいけない」と言われています。
それは、コーキングの上にクリア塗装を行うとコーキング上の塗膜に黒ずみができたり、塗膜に割れが生じる場合があるからです。そのためクリア塗装を行う前にコーキング部分はしっかりと養生する必要があります。
一方、コーキングの上から塗装したほうが塗膜ができるためコーキングが長持ちするという利点もあります。コーキングの後から塗装を行う際は、ノンブリードと言われる品質の高いコーキングを使用すれば可能です。
コーキングの処理に関して施工する塗装業者に「コーキング部分は塗装するのか?」とか「塗装するのであればコーキング剤はノンブリードタイプなのか?」と確認してみてください。返答次第でその業者がしっかりと知識を持っているかどうかを判断することができます。
まとめ
透明なクリア塗装はサイディングのデザインや模様を活かすという上では優れた工法です。
一方で、外壁の劣化状態を把握せずに使用してしまうと外壁塗装が無意味なものになってしまう塗料でもあります。
住まいの美観と耐久性を維持するために定期的な塗替えは必要ですが、クリア塗装が可能かどうかは専門家の意見を聞きながら慎重に判断してください。
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