塗装がパリパリ剥がれる|手抜き工事か?経年劣化か?

塗装がパリパリと剥がれれしまう原因には、手抜き工事による施工不良によるものや経年劣化によるものがあります。

ここでは施工不良と経年劣化の見分け方について説明していますが、塗装の剥がれは原因が何であれ外壁の劣化症状の中でも緊急性の高いサインであることを付け加えておきます。

塗装がパリパリ剥がれる原因が手抜き工事(施工不良)の場合

外壁塗装の後1年以内で剥がれが生じた場合は、手抜き工事(施工不良)に原因がある可能性があります。

※施工不良とは塗装業者の塗装工事に不備があった(手抜き工事をした)結果外壁に不具合(ここでは剥がれ)が生じることを意味します。

外壁塗装がパリパリ剥がれる手抜き工事(施工不良)の例

■洗浄が不十分だった

外壁塗装を行う前には必ず高圧洗浄を行い外壁下地に付着しているホコリや油分、カビなどの汚れを取り除きます。汚れがついた下地にそのまま塗装すると塗料の間にゴミがはさまった状態になるので剥がれやすくなります。

■下地処理が不十分だった

高圧洗浄で下地を洗浄する他にも、ケレン作業によるサビの除去やひび割れの補修を行う必要があります。

■下地にあった下塗り塗料が使われていない

下地に下塗り塗料を塗ることでその上に塗る塗料をしっかりと密着させる役割があります。

下塗りの塗料には、シーラー・プライマー・フィラーの3種類があるのですが、この中から外壁の劣化状況や下地材にあったものを的確に選定して使用しなければいけません。

この選定ができず適切でない下塗り塗料を使用すると塗料の密着度が落ちるため早い段階で剥がれてくることがあります。また、下塗り塗料と塗料の相性が悪い場合も剥がれの原因となります。

■下塗り塗料が適量でないもしくは下塗りを省いた

外壁塗装では下塗り・中塗り・上塗りと3度塗りを行うのが基本です。

下塗りの役割は外壁の下地と塗装を密着させるものですが、下塗りの塗料が規定量を少なく使ったり、また、下塗りの工程さえも省略している場合があります。

※劣化が進んでいる外壁の場合は、下地に吸収される量も多いのでそれを見計らって規定量以上の量を塗る必要性もあります。

■塗料の希釈が不適切

中塗りと上塗りは、外壁を美しく見せるための美観機能と、紫外線や雨風からの劣化を防ぐ防水保護機能の役割があります。

塗料には適切な量と塗装方法が決められていて、塗料メーカーが指定している希釈率も決まっています。

この希釈率に従わず、水やシンナーを多め希釈することがあるのです。つまり、塗料代をごまかすために本来3缶使うところを薄めて2缶にして塗装するということですが、塗膜が薄くなりムラや剥がれを引き起こします。

■見積もり通りの塗料を使用していない

悪徳業者の場合は、見積もりに書かれた塗料よりも、グレード(品質)の低い塗料で、外壁塗装を行っている場合があります。

見積もりの段階で10年前後保つシリコン系塗料を選んだはずなのに、実際はウレタンやアクリルなどの、グレードの低い塗料が使われていたというケースです。

■ 塗料の乾燥不足

外壁塗装にはたいてい水性塗料が使用されます。水性塗料は半分以上が水でできており、その水を蒸発させて残った樹脂で塗膜を形成する仕組みです。

乾燥不足による塗膜の形成不良は剥がれの原因となるので、塗料メーカーの仕様に従って、工程ごとに塗膜を完全に乾燥させることが重要です。

たとえば、中塗りが十分に乾く前に上塗りをすると、まだ半乾きの中塗りに上塗り塗料の水分が吸収されてしまい、塗膜の形成不良が起こります。

■ 雨の中、塗装された

外壁塗装の工程では、洗浄をしたり、塗料を塗ったりするごとに、十分乾燥させるというルールがあります。

これに対して、雨が降っても塗装作業を行う業者もいます。雨が塗料に交じると塗料本来の効果が発揮できなくなる可能性がでてきます。

■ 気温5度以下、または湿度が85%以上の時に施工を行った

建築工事標準仕様書には次のような記載があります。

塗装場所の気温が5℃未満、相対湿度が85%以上もしくは換気が適切でなく結露する等によって塗料の乾燥に不適切な場合は、原則として塗装作業に着手しない。

引用:建築工事標準仕様書

5℃以下の低い気温や、80%以上の高湿の環境下では、塗料が乾燥しきらないからです、悪質な業者や未熟な業者は回転率を上げるために、この基準を無視して作業する場合があります。

経年劣化や環境が原因である場合

塗装後、おおよそ10年前後ではがれが生じた場合には、時間の経過によって塗膜(塗料の膜)が劣化したことが原因の可能性が高いです。経年劣化は塗装を施してる外壁であればいつかは必ず生じる症状です

■塗料が持つ耐久年数が過ぎている

塗料には耐用年数があり、それを大幅に超えると劣化症状が出てきます。塗料の接着力も時間とともに弱くなるので塗壁から剥がれて行くのです

どのぐらいではがれが生じるかは、塗料の種類や周辺環境などによって異なります。

【塗料の耐用年数】

塗料名 耐用年数
ウレタン塗料 6~10年
シリコン塗料 7~13年
フッ素塗料 15~20年
ラジカル塗料 14~16年
遮熱塗料 7~13年
光触媒塗料 15~20年

■長期間にわたる紫外線によるダメージ

長期間紫外線を浴び続けると、外壁の塗料が徐々に劣化します。

劣化のサインとしては、外壁を触ってみた時手にチョークの粉のようなものが付着するチョーキング現象があります。

チョーキング現象が起きている外壁は、塗料の防水性が弱まっている状態であるため雨水を弾けず、最終的に浮きや剥がれを引き起こします。

■環境条件による剥がれ

海が近い地域では潮風による劣化を招きます。塩を含んだ風邪が鉄製の外壁材を錆びさせそこから剥がれを引き起こすのです。

また、北海道や東北や北陸などの寒冷地域では、壁内部の水分が凍結と膨張を区営返すことで塗装が剥がれることもあります。

塗装の剥がれを放置することで起きるリスク

外壁塗装にはがれが生じているということは、住居を保護している鎧が剥がれて雨風にさらされている状態を意味します。

保護を失った住居に雨水は簡単に侵入しどんどんと奥に入り込み雨漏りを発生させ、住居を腐食していきます。

劣化の状況が深刻になるほど、修復にかかる費用は高くなるので劣化症状は軽いうちに対処したほうがよいのです。

まとめ

外壁の劣化が10年前後でみられた場合は、その外壁を塗装した業者は優良であったといえるので、その時の業者に点検してもらい再度施工してもらうと良いでしょう。

問題は、塗装後1年もしないで剥がれが生じた場合です。これは手抜き工事による施工不良である可能性があるので、施工を行った業者に連絡して対処してもらってください。

しかし、悪徳な場合は相談しても対応してくれなかったり、計画的に廃業して連絡も取れなくなっていることもあります。

その場合は、以下の機関に相談して対応してください。

  • 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
  • 国民生活センター
  • 弁護士