塗装しなくてもいい外壁とメンテナンスフリーの外壁の違い

現時点ではメンテナンスが一切いらない外壁は存在しません。塗装の必要ないタイルやレンガでさえも完全メンテナンスフリーとはいえないからです。

しかし、壊れにくく汚れが目立たないためメンテナンスの手間がかからない外壁素材は存在します。

本記事では、塗装が必要ない外壁(タイルやレンガ)とメンテナンスフリーと呼ばれる外壁との違いについて説明していきます。

塗装しなくてもいい外壁|タイルとレンガ

タイルの家

タイルの外壁に塗装をしてしまうと10~15年位で塗膜が劣化するので見た目が悪くなります。タイルの表面は塗装をしなくても30年以上の耐用年数があるので塗装をしないのが一般的です。

レンガの家

レンガはタイルよりも耐用年数が長く50年以上持つとされます。塗料の耐用年数は長くても15年が限度なので、レンガを塗装してしまうと劣化して15年毎に塗り替えるハメになってしまします。

タイルとレンガも完全メンテナンスフリーではない

タイル外壁のメンテナンス

タイルは無機質であるため紫外線による劣化を起こしません。また、水を吸収せず汚れを弾くことからほぼ半永久的に使える建材とされています。

しかし、外壁にタイルを施工する時は継ぎ目と下地にコーキング(シーリング)やモルタルが使われています。これらの素材は有機物であるため紫外線により劣化します。

そのため、継ぎ目に給水防止剤を塗ったり、シーリングのみを5~10年ごとに補修する必要がるのです。

レンガ外壁のメンテナンス

・レンガの目地の劣化

レンガ同士をつなぐモルタルの目地が劣化することがあります。

目地部分が気温の変化や振動によってひびが入るとレンガ自体がぐらついて来るので、目地の劣化に気づいたら早めに対処するようにしてください。

・泥やカビなどの汚れ

レンガの色は月日を経て変化しそこに独特の風合いがうまれてくるのですが、汚れがついていると美観を損ねることもあります。

カビやコケなど気になる汚れを見つけたらデッキブラシなどで優しくこすり落とすようにしてください。

タイルもレンガもメンテナンスフリーに最も近い外壁素材ですが、価格が高すぎるため工事予算に余裕がある人向けですね。

メンテナンスフリーの外壁素材は存在しない

外壁塗装の業者が使うメンテナンスフリーという宣伝文句は、

メンテナンスの手間が少ない
耐久性がある
保証期間の〇年間はお手入れ不要
汚れがつきにくい
汚れがついても塗料がセルフクリーニングする

という意味で使われています。完全メンテナンスフリーの素材は実質存在しません。

メンテナンスフリーの素材が存在しない理由

メンテナンスフリーの素材が存在しない理由には、素材に含まれている有機成分が関係しています。有機成分とは炭素分が含まれる物質のことでカビの栄養分となる成分を言います。

塗料には有機成分が含まれているため紫外線により劣化したり、カビが生えたりするのです。

タイルやレンガは無機成分であるため最もメンテナンスフリーに近いといえますが、接着部分や継ぎ目に使われている材質には有機成分が含まれているため定期的なメンテナンスは必要というわけです。

耐用性が高いのは金属系サイディング

金属系のサイディングは、金属を板状に成形した外壁材です。昔はトタンが主流でしたが、現在はガルバリウム鋼板やアルミ・ステンレスが使われています。

耐水性・耐久性・断熱性・遮音性に優れていて汚れもつきにくいため、きれいな状態を長く保つことができます。

耐用年数は30年~40年と長く、他の素材のサイディングに比べてひび割れなどの破損の心配がありません。また、コーキング(シーリング)の露出が少ないため劣化もほとんどありません。

窯業系サイディングやモルタルなどが水を吸うとひび割れを起こすのに対し、金属は錆びたり大きな衝撃を受けたりしなければ割れることはありません。

ただし、塗料の防水性が落ちると金属に直接水が触れ錆びが発生しますので塗料の耐用性に合わせて塗装を行う必要があります。

 

サイディングとはパネル状の外壁材のことを言います。サイディングは普及する前の外壁は塗り壁(モルタル)が一般的でしたが、職人の技術が必要な上に手間がかかります。

サイディングはパネルを貼るだけで仕上がるので技術もそれほど必要なく、工事費用も安く収まります。

現在の日本の住宅の外壁の70%がサイディングといわれています。

その他のサイディング素材

窯業系サイディング

窯業系サイディングとはセメントなどの非金属の素材を窯で高温処理して製品化したものをいいます。現在の新築戸建ての建売住宅のほぼ100%は窯業系サイディングです。

耐震性や耐火性に優れているのが特徴です。タイル調やレンガ調などといったデザインの再現性も高く、バリエーションが豊富に用意されているのも人気のポイントです。

塗装の種類にもよりますが10~15年を目安に外壁塗装とコーキング(シーリング)の補修を行う必要があります。

木質系サイディング

木質系サイディングは、無垢の木を用いた外壁材です。戦前の住宅に見られる木張りの家は木質サイディングに分類されます。

木材の持つ断熱性のため夏は涼しく、冬は温かいという特性を持ちます。サイディングの中で最も高価な素材でありながら、木材であるので水分を吸収しやすくメンテナンスが難しい素材です。

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、塩化ビニール樹脂を主原料としたアメリカ生まれの外壁材です。(プラスチック製)

耐塩害性と耐凍害性に優れているという特徴があります。

アメリカでは最も普及している素材ですが、日本ではほとんど施工実績がないため適切な工事ができる業者が限られているというのが現状です。

まとめ|外壁のメンテナンスは専門家にご相談

完全メンテナンスフリーの外壁というものは存在しません。

タイルやレンガのように耐久性がある素材でも、雨風や紫外線にさらされていれば何かしらのお手入れは必要になるものです。

そこで重要になるのは外壁の定期点検です。

3~5年ごとくらいで専門家に点検してもらい、異常がないか、劣化の兆候がないかをチェックしてもらってください。

たとえ劣化やダメージがあったとしても、傷が小さいうちに対処をすれば外壁の寿命は伸ばせますし、メンテナンス費用も少なく済みます。

 

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