親が亡くなればその家は財産として子供に相続されますがその家がゴミ屋敷であった場合、家の掃除や管理は頭痛の種となってしまいます。
いっそのこと相続を放棄して面倒な管理責任から解放されたいところですが、実際には相続を放棄しても管理責任がなくなるというものではありません。
ここでは、ゴミ屋敷を相続することになったときの管理責任と、ゴミ屋敷を管理責任ごと手放す方法について解説しています。
目次
ゴミ屋敷を相続放棄しても管理責任は残る
親のゴミ屋敷を相続放棄したとしても、他に相続人がいない場合管理責任は相続人に残ります。
具体的には
■ゴミを処理してきちんと管理する義務
■倒壊したゴミ屋敷により他者に怪我や被害与えた場合は損害賠償の義務
といった義務から免れないということです。
第940条第1項
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
出典:法令検索
また、相続人が複数いる場合、最初の相続者が相続放棄するとゴミ屋敷は次の順位の相続人が相続することになります。
裁判所から次順位の相続人に連絡が届くことはないので、相続を知らなければ管理義務は引き継がれません。そのため、次の相続人にその旨を説明して管理義務も引き継いでもらわなければならないのです。
しかし、次順位の相続者もいきなりゴミ屋敷を相続することになったと言われても困惑するだけ。当然、なんの得にもならない管理義務を引き受けることはないでしょう。
受け取りを拒否されれば管理義務は最初の相続人に残ったままとなります。
マイナスの財産だけを相続放棄するわけには行かない
民法939条では、相続放棄について次のように定義されています。
民法939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
出典:法令検索
つまり、相続放棄とはゴミ屋敷や債務などのマイナスの財産だけでなく、他の価値のある遺産もすべて相続せずに手放すことを意味します。
また、
民法第921条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。出典:法令検索
と、ありますが、これは相続人が相続財産を一部でも処分すれば、相続を承認したことになり相続放棄は認められないということを意味します。
つまり、少しでも資産価値のあるものを処分してしまうとその時点で相続の放棄ができないということ。
具体的には
・故人の預金の一部を引き出して使う
・資産価値のある貴金属を勝手に売却する
・ゴミ屋敷の故人の遺産を処分する
これらの行為は相続に同意したとみなされるということになります。
ゴミ屋敷を管理責任ごと手放す3つの方法
相続財産管理人の選任申し立てを行う
ゴミ屋敷を含む全財産を相続放棄したあとで、家庭裁判所を通して相続財産管理人を選出します(たいていは弁護士)
これにより、ゴミ屋敷の管理人が自分から相続財産管理人に移行。
ゴミ屋敷の売却や国庫への帰属などの手続き一切を任せることになります。
ただし、相続財産管理人の選任には、相続財産管理人への報酬や管理費用の予納金が発生します。
一般的に予納金は数十万円以上かかるとされます。また、相続管理人の選任には家庭裁判所への申立をしてから手続完了まで時間がかかるとことが予想されます。
ゴミ屋敷を扱う不動産業者に買い取ってもらう
一般の不動産会社では扱わないゴミ屋敷を専門的に買取している不動産会社も存在します。
こうした業者の中にはゴミ屋敷を片付けずに現状のままで買い取ってもらうことも可能です。
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